子どもの目と心(ルビあり、ルビなし)
現代社会では子どもにも色々なストレスがかかることが多く、からだに様々な症状が現れること があります。そのようなストレスが原因で視力の低下や視野の障害が現れるものを、心因性視力障害と言います。
心因性視力障害の場合、 0.4~0.6 程度の比較的軽い視力低下を示すことが多いため、半数以上の子どもは本人が見えていないことに気づいておらず、定期健康診断でみつかることがよくあります。眼科で検査をすると眼球自体には特に悪い所がないにもかかわらず、裸眼の視力が落ちていたり、近視や遠視や乱視に対し適切なメガネをかけても、視力がでません。このような心因性視力障害は、小学生や中学生などの子どもに多くみられます。ストレスの原因がはっきりしないことも多くありますが、なんらかのストレスが原因となって目の症状に置き換わり、視力障害がおこると考えられています。
子どもの心因性視力障害の治療は、親子が一緒に受けることが必要です。根本的な治療はストレスの原因を取り除くことがですが、簡単には解決できないことも多くあります。担任の先生などと連絡をとりながら、子どもの様子や環境を観察し、長期的に経過をみることも必要です。心因性視力障害は、眼科的には異常がないので、ほとんどの場合、視力障害は改善します。子どものある時期におこる一時的な現象ととらえ、保護者が過度に心配しすぎないようにしましょう。
心因性視力障害で失明することはなく、症状が発見されてから1年以内に視力が改善するものがほとんどですが、治療にあたっては、子ども本人、保護者と主治医が信頼関係を築いて診療を続けることが大切です。